わたしのぼうけん

日本ヤナシス業務日報

日報02/05 肉を焼いた

非自炊長期政権の崩壊に至った経緯

私は人生において自炊を一度もしたことがなかった。ここで言う自炊には、お湯を入れるだけ(主にカップ麺を想定)、レンジで温めるだけ(スーパーやコンビニ等の弁当や冷凍食品を想定)、というものは含めない。一人暮らしを始めた大学1年生の時に当然のように自炊セットを与えられて生活を始めたが、私はそれらを全く使わず大学生活を全うし、就職後は自炊セットを弟に譲り完全に自炊をしない構えで生きてきた。そして私の人生における自炊の位置付けはそのままで良いと考えていた。だが、VRCのフレンドたちの贈り物により私の中の長期に渡る非自炊主義政権は崩壊することになる。1年前には考えられなかったことだ。

まず2022年10月頃にフレンドAから誕生日祝いとして高級和牛の肉が贈られてきた。肉焼いたことなんて一度もないから困ったなー、どこかに持ち込んで料理してもらうか?等と話していたら、私の生活改善に熱心なフレンドBからフライパン等をAmazon干し芋経由で贈られて、自炊しないという退路を断たれることになった。私も心のどこかで人生で一度くらいは自炊しても良いだろうと思うようになっていたから、気持ち的にはそれほど抵抗せずに受け入れることができた。

様々なナントカ童貞があるが成人式童貞なんかより強いカードとして自炊童貞を認識しており、それを失いたくなかったというのと、単に面倒だったというのがあり、過去には自炊に踏み切ることはなかったのだと思う。それが変わったきっかけとしては2つあって、1つはちょうど肉が送られてきたのと同じ頃にがん検診の結果が送られてきて、自分の死に向き合う時間を多めにとった結果として、どうせ死んでしまうのだから変な拘りは捨てて今のうちにやれることをやっておこうかという考え方で動き出したこと、2つ目は先に述べたフレンドたちをはじめとして「こいつになら騙されても許せる」と思えるような人間関係を構築できて色々と人間が丸くなったことが挙げられると思う。

まずは火を点ける

今の自分は自炊に関しては幼稚園児並みのレベル1、ガスの元栓がどうなっているのかも知らない状態だったので、常識として知られているべきことを知らない可能性が高く、経験者の書いたものにはあまりにも低いレベルの常識は書かれていない可能性が高いと考え*1、また自分の不器用さと記憶力の無さも考慮して、目標である和牛ステーキを作るというタスクを分解して、非常に初歩的なところから始めることにした。まずはガスコンロで火を点けるところまでだ。

まず自宅に設置されているガスコンロの説明書をざっと通読。ガスの元栓を確認し(ずっと開きっぱなしだった)、ガスコンロの掃除をし(使ってないので埃がたまってた)、点火用の電池の状態を確認し、いよいよ点火……! おそらく入居初日に業者の人がガスの確認をして以来4年ぶりくらいの炎がガスコンロに灯った。

ガスコンロに物を置いて火を点けて消すまでの一連の動作を覚える

次にガスコンロを使って何か簡単な成果物を作り、ガスコンロに何か物を載せ、火を点け、火を消すに至るまでの動作を身に着けるところまでだ。フライパンを使うより鍋に水を入れて沸かす方が簡単そうだったので、湯煎するタイプのハンバーグを温めて食べることにした。

最大火力でお湯を沸かしたところハンバーグが温まる前にお湯が全部鍋の外に出てしまうのではないかという勢いになってしまったため、ガスコンロには火力調節機能があるということを思い出し、火力を弱めてハンバーグを温めきることができた。

使った道具を洗ったり干したりするための道具が足りないこともわかった。私はこれまで容器から直で飲み食いするか使い捨ての食器を使うことしかしてこなかったので調理器具や食器を洗うことを想定した装備はほとんどなかった*2。そこで近所のスーパーでそれらの道具を買い揃えてきた。

フライパンの使い方を覚える

ガスコンロの操作は大丈夫そうだ。次にフライパンの使い方を覚えるために、練習をすることにした。まずは手元のフライパンの説明書を一通り読んだ。それから「フライパン 初心者 使い方」みたいな言葉でググった結果から記事や動画を幾つか見た。鉄フライパンの動画がたくさん出てくるけど、私のはティファールの「ロイヤルブルー・インテンス ディープパン」 なので取り扱いはちょっと違った。

色々記事や動画を見ているうちに、油ってどのくらい必要なの? と思ったので、色々調べた結果、自分のフライパンでステーキを焼く分にはかなり少量をフライパンに引いておけば良さそうだと理解した。あとフライパンを洗う前にちゃんと油は処理しておかないとダメということも知った。油を水道に流してはいけないという知識自体は知っているが、実践としてできるかどうかは別で、事前に具体的な手順を思い浮かべることができていないと、きっとうっかり水道に流してしまっていただろうなと思う。

ステーキの作り方を覚える

フライパン総論的な学習をした後は、今回は最終的に貰った肉をステーキにしたいので、ステーキの前準備から焼き方まで調べた。冷凍肉を冷蔵庫で解凍した後はすぐ焼いてもいいのかと思ったけど、常温になるまで待つ、筋切りをする、塩こしょうする、水分を取る、など色々やることはあるものだなと思った。焼き始めて以降はシンプルだけど、どのくらいの焼き加減にしたいかを考えないといけない。焼き終わった後は肉を休ませておく必要がある。そういった工程とその片付けを考えるとまだ道具が足りないと思ったので追加でスーパーに買い出しに行った。なんかテンション上がってきたので、使い捨て食器以外も使おうと思って食べる時に使う皿や箸も買った。ついでに無印良品で季節限定のさくら味の菓子がたくさん売ってたのでそれも買った。

マグロのステーキで練習する

さて、そこまで学んだら実践の時間だ。初回は失敗するものなので、いきなり和牛を投入するのは気が引けた。ちゃんと焼けるかどうかもわからない。最悪の事態を想定して、練習台は生のままでも食べられるものがいいな……と考えた結果、マグロのステーキを作ることにした。和牛まで焼いた今になって思うのはやっぱり何か安いステーキ肉で練習しておくべきだったと思うが、これはこれで学びがあってやらないよりはずっと良かったと思う。

西友で割引されてる刺身用マグロを買ってきて、筋切り以外は牛肉と同様の手順で準備し、焼いてみた。焼いているだけといえばそれだけなのだが、焼肉屋以外で何かを焼くのは人生初めてなのでかなりテンションが上がった。油がパチン!と跳ねてからは恐怖との戦いだったけど……。VRCのフレンドにあなたは不器用なんだからトングを用意した方がいいよと前日に言われていたので用意しておいたが、用意しておいて正解だった。菜箸だったら色々悲惨なことになっていたかもしれない。

マグロのステーキは美味しくいただいた。今後もおつまみとかに用意してもいいのかもしれない。雰囲気出したかったので西友で買ってきたサラダを一緒に皿に載せた。

マグロのステーキ

和牛を焼く

マグロのステーキを作った翌日、和牛を焼くことにした。和牛は2枚あり、薄いやつと厚いやつがあった。厚いやつの方が難易度高そうだったので、まずは薄いやつからいくことにした。基本的な手順はマグロのステーキで実践していたが、フォークで筋切りするのと、フライパンから出した後にホイルをかけて休ませる工程を追加した。焼く工程はマグロよりかなり焼いてる感が強い感じになり、見惚れているうちに焼き過ぎたかもしれない。お米と日本酒と一緒に美味しくいただいた。

和牛のステーキ

せっかく環境を整えたので、食事の選択肢の幅を広げてみようかと思っている。生活費を安くするのはいずれ考えるとして当面の間は一つの趣味みたいにしてコスパ度外視でやっていこうと思う。

*1:UnityでVRC用の何かを作ろうとしてググるとこの手のトラップによく引っかかる。仕事でも新人に何かを教える時、自分にとって常識過ぎてうっかり説明を飛ばしてしまうのはある。

*2:例外的にベルギービールは専用のグラスを使って飲むことがあるので食器用洗剤はあった。